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Q.今回が黒井さんは最後の選考委員。今の気持ちと、芥川賞の変遷について。
97回から選考委員をやって、146回でちょうど50回。年に2回ありますから25年間、1回も休みませんでした。皆勤なんですよ。25年間勤めて、50回選考会にでました。1回目の最初の選考会に出てきたのが村田喜代子の『鍋の中』でした。これはとても面白い作品で、強く推したのをおぼえています。

ずいぶんうねりも、選考委員の変更もありましたけど、なんというか正確に言えないんだけど、毎回候補作って5篇なり6篇なり、多いときは7篇くらい出てくるんですけど、その候補作をざっと通読したときの感じは毎回ちょっとずつ顔が違うなという感じがあって。何かやっぱり時代の反映、空気の反映がそこにあったんじゃないかと思います。

作品そのものの中身に関しては、いつ頃かはっきりわからないがやたらに小説がテレビゲームみたいな格好になってゲーム感覚で進んでいくというふうな作品が、そういう作風のものが顕著に増えた時期があったように思います。その時に感じたのが、意匠としては新しい表現が出てきてそれが多くなるのなら、片っぽは古くていいけど片っぽは新しくてダメとか言えなくなるんじゃないかと。もしかしたらそういう古い傾向の作品と、新しい傾向の作品と、判断の基準というのは共通のものではなくなるのかも知れないと。判断基準が2つくらいいるんじゃないかと真面目に心配した時期がありました。

それと、選考委員は原則として一般論として応募作品の書き手より年上なわけです。今の選考委員では僕が一番年上なんですけど、それとして新人賞ですから作品としては新しいものを読む。そうすると、これだけ芥川賞が注目され騒がれていることを考えると、新しい者がでてきたときに、それを受け入れる、これ新しいけど面白いよというのは選考委員の年を考えると明らかに年寄りなんです。立場としては古いわけです。古い人たちが、新しいものにどう接するかということが芥川賞が常にもっている課題だと思います。

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全文掲載:芥川賞選考委員 黒井千次さん | NHK「かぶん」ブログ:NHK